本日ははぐくみ基金について最近導入している企業が増えているということで実体験も含めてお伝えしていきたいと思います。
一番伝えたいことは感想に書いていますので、会社で導入になったけど実際どうなの?という人は感想だけでもご覧ください。
はぐくみ基金とは
はぐくみ基金とは正式名称を福祉はぐくみ企業年金基金と言います。2018年に厚生労働省の認可も受けている企業型の年金制度になります。元々は福祉や医療などのエッセンシャルワーカーに向けて福利厚生や資産形成支援を目的に創設されたとのことです。
会社で導入が決定すると説明会などもあると思いますが、詳しい制度の概要は公式ホームページに載っていますのでそちらをご確認ください。
簡単にいうと自分の給料から積み立てて退職金を作りましょうというものです。企業型DCやiDeCoとも併用は可能ですが、他の制度でかけられる上限が減額となります。
掛け金は給料の20%まで積み立てることができます。(min1000円、max100万円)
そして年2回積立額の変更が可能です。
メリット、デメリットなども簡単に記載しますが、公式ホームページの方が詳しく書いてあります。
そのため今回の記事で一番伝えたいところは感想になります。
メリット
①社会保険料や税金の減額ができる
これが一番のメリットになります。
30歳 給与30万 掛け金2万円 の場合およそ月額5千円の減額
30歳 給与30万 掛け金4万円 の場合およそ月額1万円の減額
30歳 給与30万 掛け金6万円 の場合およそ月額1万5千円の減額
(出典:はぐくみ基金加入効果シミュレーションを簡単に記載しました)
これだけ社会保険料、所得税・住民税(の合計)を減らすことができます。
②退職時・休職時にもらえる
iDeCoのように受け取りに年齢制限はなく退職や休職があれば受け取ることができます。
また、受け取り時にも退職所得控除が適応されることもメリットになります。
③元本補償であり、運用益が多少ある(あるが期待はできない)
安定したファンドでの運用になるため元本は保証されます。しかしほとんど増えないと思った方が良いと思います。1.05%ほどとの記載もあり銀行に預けておくよりはよい程度と思います。(実績自体がまだ少ないので今後増える可能性はあります)
このように税制が優遇されるため、実質の賃金が上がるということがメリットになります。
デメリット
①ランニングコストがかかる
→月に1人あたり500円ほどかかります(従業員の人数によって異なる)
また、制度導入費が30万円ほどかかることは企業にとってはデメリットなります。ただし支払う社会保険料が減る(労使折半のため)ので実質負担も減ることになります。
②従業員の理解が必要
→従業員にとっては実質給料が増えると言っても、毎月の手取りから積み立てられるために受け取る給与自体は減ることになります。そのため任意加入ではありますが、会社によっては強制加入のように説明をすると反発につながる可能性があります。
③年金・給付金額が減る可能性がある
毎月に収める社会保険料が減ることで厚生年金や失業手当が減ることになります(額面の金額が変わるため)
ただしその分以上の税制優遇にはなるためしっかりと積み立てればそれほど気にするデメリットではないと思います。
④運用益がそれほど高くない
元本保証はメリットですが、増えないので他で運用した方が増えるという手段がある場合は選ばれない可能性があります。
⑤受け取りに手続きが必要、また時間がかかる
当然ですが、受け取るためには書類を提出し、受理される必要があります。
3枚程度の書類記載とが必要になり会社に提出する必要がある(筆者体験の事例の場合)ので辞める会社で上司と話をしなければいけないというのは手間がかかります。
また、受け取りに関しても私の場合退職日から2ヶ月半ほどかかりました。具体的には6月末の退職で8月中旬の振り込みでした。実際には6月に有給などを使用するために5月に書類を提出したので書類提出からは3ヶ月以上かかったことになります。(忘れてしまう人もいるのではないかと思います)
感想
正直なところ現状はぐくみ基金に関しては良い制度ではありますが伝え方が非常に重要なのではないかと思います。強制加入と間違えるような説明の仕方を会社がしてしまうとお互いにとっても良い結果にはならないと思います。
また会社に対して不信感がある場合はどんなに良い制度であっても、変な制度を導入したと受け入れが難しいために正しい情報を伝える必要があります。
元本保証で税制優遇を受けられるので加入してくださいという説明だと怪しすぎますよね。1000円でも良いから加入してくださいと言われてもそれが良いことなのか悪いことなのかわからないということもあると思います。
家庭環境は人それぞれなので掛け金は人と比べる必要はないと思いますが手取りに余裕がある人は多めに、ぎりぎりの人は最低限でも使用したほうが良いと思います。
特に加入をお勧めする人は①給与に余裕があり銀行に預けている人 ②貯金が苦手な人 です。
また、特に加入をお勧めしない人は①もうすぐ仕事を辞める人 かつ ②会社に不信感があり辞める人 になります。
この場合税制優遇よりも会社との手続きややり取りに手間がかかるので労力に見合わない結果になります。
それ以外の人はよほどぎりぎりの生活でない限りは加入をした方が良いと思います。
またそのほかお勧めしない人は③掛金もそこまでかける気はなく面倒くさがりな人 ④もうすぐ定年なのに制度が導入になった人 です。どうしても手続きが増えるので関心自体がなかったり、忘れてしまう人、加入しても期間自体が短い人はどちらでも良い気もします。
さらに例外として、⑤他に良い投資を行っている人も加入しない方が良い可能性があります。(手取りが減るため)
正直なところ、今後2024年から始まる新nisaが年360万円まで投資が可能になるため「増やす」という意味ではnisa上限に達するまでは余裕資金はnisaへ入れた方が良いのではないかと思います。もちろん投資に正解はないのでバランスよくリスク分散をするのが良いと思います。はぐくみ基金で税制優遇を受けた上でnisaを限界まで活用するというのが理想ですね。
今回一番伝えたかったのは仮にブラック企業で導入されていたとしてもはぐくみ基金自体はそこまで悪い制度ではないですということでした。しかし現状2023年時では基金設立から5年ほどしか経過していないため今後も動向に注視が必要です。(ただし個人で入れるものではないので会社が加入を選択したらメリットとデメリットを理解し検討するのが良いと思います)
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