精神科訪問看護の基礎知識

本日は精神科訪問看護の基礎知識についてまとめていきます。

知識の確認、教育に役立てばと思います。(制度は変わる可能性や市町村により異なる可能性があるのでご注意ください)

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目次

精神科基本療養費について

通常医療保険の基本療養費には時間区分がありませんが、精神科訪問看護基本療養費は30分以上の訪問と30分未満の訪問で金額が変わります。

30分未満の訪問に関しては短時間訪問の必要性があると主治医が認め、精神科訪問看護指示書に明記されている場合のみ算定できます。

・基本療養費Ⅰ
看護師、保健師、作業療法士の訪問
週3回まで30分以上5550円/日 30分未満4250円/日
週4日目以降30分以上6550円/日 30分未満5100円/日

・基本療養費Ⅱは廃止(H30年)

・基本療養費Ⅲの同一居住者への訪問看護も同様に変更あり。

・基本療養費Ⅳは外泊者への訪問看護ですが入院中に原則1回8500円算定可能となっています。

基本療養費は精神障害を有する利用者またはその家族等に対して、精神科を担当する主治医の精神科訪問看護指示書と精神科訪問看護計画書に基づいて訪問を行った場合に算定します。(算定にあたっては地方厚生局への届出が必要です)

算定上の留意事項

訪問日に関しては基本的には週3回までが原則ですが、精神科の場合は退院後3ヶ月以内においては週5日まで算定可能です。精神科特別訪問看護指示書が出た場合に関して通常の特指示と同じく14日に限り日数制限なく訪問可能です。

精神科訪問看護基本療養費ⅠまたはⅢを算定する場合は看護記録、報告書、療養費明細書に月の初日のGAF尺度を記載する必要があります

GAF尺度に関して

精神科訪問看護においては必ず月の初めに介入した職種にてGAFの評価が必要となります。

GAFとは機能の全体的評価尺度(Global Assessment of Functioning)のことで成人の社会的、職業的、心理的機能を評価するのに用いられる1~100の数値スケールです。

GAF記載の注意点ですが
①該当する低い尺度で記載する
②評価日から1週間前まで遡って、1番悪かった状態を評価する
③各職種ごとに評価するものではない(OTのあとにNSが介入しても評価はOTのみで良い)
④毎月の評価が必要
⑤月内で状態が変わっても再評価は不要(月の初めのみ評価する)
⑥月の途中や月末が「月の初回」の訪問になった場合はその初回訪問で評価する。

となります。

複数名精神科訪問看護加算に関して

通常医療と異なり算定にあたっては医師が複数名訪問の必要性があると認め指示書にその旨及び理由を記載することが要件となります。

保険は医療保険を使用する

精神科訪問看護指示書がでた利用者様に関しては保険は医療保険での介入となります。

要介護が出ている利用者だとしても精神科の訪問看護は医療保険が優先となります。(診断が認知症の場合を除く

訪問できる職種に関して

精神科訪問看護で訪問できる職種は以下になります。

イ:保健師または看護師
ロ:准看護師
ハ:作業療法士
ニ:精神保健福祉士

となります。PT、STの介入が必要な場合は通常の訪問看護指示書で介入する必要があるので注意が必要です。

また精神科訪問看護を行うための条件は以下になります。

①精神科を標榜する保険医療機関において精神科病棟または精神科外来に勤務した経験が1年以上
②精神疾患を有するものに対する訪問看護の経験が1年以上
③精神保健福祉センターまたは保健所等における精神保健に関する業務の経験が1年以上
④専門機関等が主催する修了証が交付される研修を終了しているもの(20時間以上の研修)

→「精神障害者の在宅看護セミナー」、「精神科訪問看護研修会〜基礎編〜」などが該当

となりますのでよく確認してから実施する必要があります。

自立支援医療制度とは

精神通院医療、更生医療、育成医療に分かれていた公費負担医療が統合されたものが自立支援医療制度です。

自立支援医療制度における精神通院医療は障害者自立支援法が施行される前に精神障害者通院医療費公費負担制度として行われていたもので精神疾患による外来通院等にかかる医療費の自己負担を減免し地域での治療が適切に継続できるように支援する制度です。

自立支援医療制度を利用すると自己負担学は医療費に応じた定率負担になります。ただし所得等に応じて1ヶ月当たりの自己負担額に上限が設定されます。市民村民税が23万5000円以上の世帯に属する人は給付対象外になります。

自立支援の手続きに関して

申請窓口は住所地の市町村役所になります。名称は各市町村によって異なりますが障害支援課のような課があると思います。

提出物:申請書(印鑑)、診断書、保険証等になります。(正確なものは各市町村に問い合わせください)

追記の場合は申請書に加えて、医師の指示書の控えなどが必要になるため訪問看護で使用する際は早めの手続きをしておくと良いと思います。

訪問看護の名前が記載された日付時点から使用できるものになるため、郵送などの場合は注意が必要です。役所に直接持参した場合は即日で記載していただけることが多いようです。

更新は3ヶ月前から可能であり毎年行う必要があります。必要なものは受給者証の原本と申請書、診断書(2年に1度)となります。

記載内容に変更があった際には変更届が必要になるため注意が必要です。

自立支援医療の対象

対象は従来の更生医療、育成医療、精神通院医療の対象者で一定所得未満の人になります。

医師の診断も必要になりますので、医療機関などで確認すると良いと思います。

精神科訪問看護での自宅外訪問について

訪問看護ステーションの場合は利用者の自宅以外への訪問看護を算定することが原則できません。

実施する場合は基本的には全額自己負担もしくはステーションからの持ち出しになります。

この場合の自宅とは以下のような施設になります。

有料老人ホーム
ケアハウス
サービス付き高齢者向け住宅
特別養護老人ホーム
短期入所生活介護(ショートステイ)
グループホーム
小規模多機能型居宅介護(宿泊のみ)

利用者の職場や公園、就労支援施設などには訪問し算定を取ることはできません。

まとめ

精神科訪問看護は通常医療の訪問看護ともまた制度が異なるなど複雑な部分が多いために1つ1つ丁寧に説明から行っていく必要があります。

また、各スタッフが制度も含めて理解して訪問するがあるので日々情報をアップデートしていきましょう。

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この記事を書いた人

看護師・保健師 胡桃 30代メンズナース
ゆら訪問看護ステーションにて所長をしています。

妻と子とのんびり暮らしています。
メインは看護・育児・お金などになりますがノンジャンルで発信していきます。

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