訪問看護の利用料金を理解しよう〜医療保険編〜

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目次

基礎知識〜基本療養費と管理療養費〜

医療保険に関しては介護保険と料金体系がやや異なります。訪問+加算という基本的な枠組みは同じですが、訪問の部分が「基本療養費」と「管理療養費」に分かれます。

また、介護保険とは異なり週3回までと週4日目以降の訪問で基本療養費及び管理療養費の金額が異なってきます。
医療保険は基本的には週3日までの訪問が限度とされているので、週3日を越える訪問に関しては別の条件が必要になります、別の条件とは別表7に該当する疾患である、特別訪問看護指示書が出る等です。
基本療養費は1日1回、週3日までの算定が基本となります。

基本療養費に関して看護師及びセラピストが訪問する場合は、通常週3日までは5500円(以下10割負担での料金を記載)、週4日目から6550円になりますが、同一建物に訪問する場合は基本療養費Ⅰではなく基本療養費Ⅱとして減算がかかります。


減算がかかるのは同一建物に同一日に3人以上の訪問した場合場合であり、基本療養費がおよそ半額になります。
基本療養費Ⅱに以降するのは3人目の訪問ではなく3人全員が基本療養費Ⅱの算定になります。

基本療養費はⅢまであり、基本療養費Ⅲは外泊中の訪問看護に適応となり、入院中1回につき8500円となります。
ただしこちらも訪問の条件があり、医師の指示及び適応疾患があるので注意が必要です。

基本療養費に付随する加算は以下があります。
①難病等複数回訪問加算
②緊急訪問看護加算
③長時間訪問看護加算
④乳幼児加算
⑤複数名訪問看護加算
⑥夜間・早朝・深夜加算
⑦特別地域訪問看護加算

次に管理療養費ですが、月の初日に訪問する場合と月の2日目以降の訪問で料金が異なります。
月の初日の場合は7440円、2日目以降の場合は3000円となります。(機能強化型訪問看護管理療養費を算定する場合はさらに金額が異なります。)

管理療養費に付随する加算は以下があります。
①24時間対応体制加算
②特別管理加算(I及びⅡ)
③退院時共同指導加算
④退院支援指導加算
⑤在宅患者連携指導加算
⑥在宅患者緊急時等カンファレンス加算
⑦精神科重症患者支援管理連携加算
⑧看護・介護職員連携強化加算

各訪問に加算されるのは基本療養費に付随、月に何回かしか取れない加算は管理療養費に加算と覚えると良いと思います。

基本療養費と管理療養費を合わせて訪問看護療養費とまとめる場合もあります。

医療保険での訪問看護の同日訪問に関しての費用

1日に2回、3回と訪問する場合は1回目で基本療養費及び管理療養費が算定されているため、基本療養費+管理療養費として2回目であれば4500円、3回目であれば8000円の訪問料となります。

つまり1日に月の初日に2回訪問した場合は基本療養費Ⅰ(5500円)+管理療養費(7440円)+4500円(2回目の料金)となります。

月の初日に3回訪問した場合は基本療養費Ⅰ(5500円)+管理療養費(7440円)+8000円(3回目の料金)となります。

この時基本療養費Ⅰ(5500円)+管理療養費(7440円)+4500円(2回目の料金)+8000円(3回目の料金)にならないことに注意が必要です。
2回目と3回目の料金合わせて8000円となります。
同日4回目以降の訪問に関しても3回訪問した時と同様の料金になりますが、保険外の費用を設定しているステーションもあるためその場合は事前に説明が必要です。

まとめ

・医療保険の訪問看護の費用は基本療養費+管理療養費+加算で構成されている。

・医療保険は基本的には週3回の訪問が限度であるが厚生労働省指定の疾患や特別訪問看護加算があれば週4日以上の訪問ができる。

・同一日の同一建物に訪問する場合は基本療養費Ⅱにおいて減算がかかる。(ただし緊急訪問を除く)

・管理療養費は月の2日目以降の訪問から料金が下がる。

・同一日の訪問は2回目が4500円、3回目以降は8000円の加算(難病等複数回訪問加算)となり基本療養費、管理療養費は算定できない。

その他の注意事項

・精神科の場合は基本療養費ではなく精神科基本療養費という名称になりますが、週の途中で切り替わったとしても同一のものとして合わせて利用者1人につき1日1回、週3日まで算定可能です。

週4日以降の訪問の場合看護師の場合は、基本療養費6550円になるところがセラピストの場合は5550円となります。(令和2年の診療報酬改定)

→週の累計ではなく日曜日を起算として4日目がセラピストであれば5550円、看護師であれば6550円となります。

・管理療養費はセラピストのみの訪問では算定できず、看護師が定期的に訪問していることが条件になります。理学療法士の訪問は訪問看護の一環として行われるものと定められています。
→そのため医療保険の訪問看護では看護師の訪問が前提となります。
訪問看護ステーションが2ヶ所入っており、セラピストのみの訪問となっている場合にも算定の有無にかかわらず訪問看護師の定期的な訪問が必要になります。

複数のステーションが入っている場合の注意点(重要)

・複数のステーションが同一日に算定をすることはできません。Aステーションが朝訪問し、Bステーションが夕方訪問することは、訪問自体は疾患・指示書等の条件を満たせば可能ですが、算定できるのはAステーションもしくはBステーションのどちらかになるため、事前に相談が必要です。
・よくあるのがセラピストのみ派遣している場合はセラピストが訪問した日の同日の緊急訪問に関する算定をどうするかステーション間で話し合う必要があります。
・週3日まで、週4日以降の換算については日曜日を起算として各ステーションごとで換算します。Aステーションが3日訪問した後に、Bステーションが訪問する場合はBステーションは1日目としてカウントします。

・24時間対応体制加算、退院支援指導加算、訪問看護ターミナル療養費、訪問看護情報提供療養費、退院時共同指導加算はいづれか1か所のステーションのみ算定可能です。看護師が2事業所(もしくは3事業所)入っていても24時間対応体制加算も1か所のみのため月毎に算定ステーションを変える、緊急は1事業所で統一する等の話し合いが必要です。

・管理療養費、特別管理加算、緊急訪問看護加算、夜間早朝深夜加算、乳幼児加算などは複数のステーションで算定可能です。

・長時間訪問看護加算は週1回いづれかのステーションのみ算定が可能です。

計算手順1 保険証の確認

まずは医療保険証を確認します。

①保険証から負担割合を確認する。

負担割合症に1割、2割、3割と負担割合が記載されているため場合はそれに従います。記載されていない場合は通常は3割負担、後期高齢の場合は所得に応じて1割もしくは2割負担であることが多いです。(負担割合に関しては厚生労働省の公表の制度に即しての適応になります)

②難病等限度額手帳を所持しており限度額が設定されている場合

限度額がある場合は限度額以上の金額がかかることはないことをお伝えする必要があります。
ただし難病手帳の適応になるかどうかは指示書に該当疾患が記載されている場合、主治医による診察がされている等の条件があるので注意が必要です。

例)難病手帳を持っていても難病を診察していない皮膚科医が褥瘡の特指示を出している場合は適応できない。

計算手順2 料金表の確認

利用料金と負担割合を確認し、適応される加算を確認していきます。

月毎にかかる加算に関しては説明がしやすいですが、訪問ごとにかかる可能性がある加算については契約時及びその加算を取得する際に説明・同意を得ることが望ましいと思います。

ご利用者様の負担の具体例

①医療保険 連日訪問となった場合(同日、複数名訪問なし)
1日 月曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費7440円
2日 火曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費3000円
3日 水曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費3000円
4日 木曜日 看護師 基本療養費6550円+管理療養費3000円→週4日目以降
5日 金曜日 理学療法士 基本療養費5550円+管理療養費3000円→セラピストは基本療養費が5550円になる。
6日 土曜日 看護師 基本療養費6550円+管理療養費3000円
7日 日曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費3000円→日曜日起算のため週3日目までに戻る
8日 月曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費3000円

上記に月の加算と訪問ごとの加算を追加した金額が負担額(負担割合に応じて計算)となります。

②医療保険 連日訪問(同日、複数名訪問、緊急訪問あり) 特指示、難病など
20日 金曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費7440円
21日 土曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費3000円
   土曜日 看護師緊急訪問 +4500円→(同日2日目として複数回訪問となる)
22日 日曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費3000円
23日 月曜日 看護師2名による訪問 基本療養費5550円+管理療養費3000円+複数名加算4500円
24日 火曜日 理学療法士 基本療養費5550円+管理療養費3000円
25日 水曜日 看護師 基本療養費6550円+管理療養費3000円→週4日目以降になる
26日 木曜日 看護師 基本療養費6550円+管理療養費3000円
   木曜日 緊急訪問①
   木曜日 緊急訪問② +8000円→(同日訪問3回目)
27日 金曜日 看護師 基本療養費6550円+管理療養費3000円
28日 土曜日 看護師 基本療養費6550円+管理療養費3000円
29日 日曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費3000円→週3日目までに戻る
30日 月曜日 看護師2名による訪問 基本療養費5550円+管理療養費3000円+複数名加算4500円
1日 火曜日 看護師 基本療養費5550円+管理療養費7440円→週3日目までのため月の初日基本療養費は5550円
2日 水曜日 看護師 基本療養費6550円+管理療養費3000円

上記に月の加算と訪問ごとの加算を追加した金額が負担額(負担割合に応じて計算)となります。

〜疑問〜 月の初日、週4日以上になる料金が適応される例に関して

月の初日、週4日目以降に訪問を行うと基本療養費が6550円取ることができます。

しかし月の初日が週4日になる例は非常に少なく、月末に日曜日を含む週3日訪問し週4日目の訪問が月初に該当するということはとても厳しい条件と思われます。

28日 日曜日
29日 月曜日
30日 火曜日
1日  水曜日 →ここで初めて基本療養費6550円が適応される。

28日木曜日
29日金曜日
30日土曜日
1日 日曜日→週の1日目になるため基本療養費は5550円になってしまう。

連日訪問であれば算定しやすいかもしれませんが、曜日や日付がずれると算定できないことになります。

解釈など間違っていましたらコメント欄でお知らせいただけますと幸いです。

まとめ

医療保険では基本療養費及び管理療養費という介護保険とは異なる料金体系になるために仕組みを理解し算定要件も改めて確認をする必要があります。

ある程度の金額に関しては算定ソフトで計算可能ですが、漏れやミスがないようにするためには請求担当者がしっかりと理解しておく必要があります。

また、制度は改定が定期的にあり加算や費用も変わってくるため常に最新の情報を入手するように心がけてください。

上記はあくまで参考程度にお願いいたします。

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この記事を書いた人

看護師・保健師 胡桃 30代メンズナース
ゆら訪問看護ステーションにて所長をしています。

妻と子とのんびり暮らしています。
メインは看護・育児・お金などになりますがノンジャンルで発信していきます。

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