はじめに
特別管理加算Ⅱは、訪問看護の高度なケアに対する報酬の制度で、具体的な加算内容は患者のケアの必要性に応じて付与されます。
以下は、特別管理加算Ⅱの具体的な加算内容についての詳細です。下記に該当する場合に該当する月に1度算定することが可能です。介護保険と医療保険で一部名称が違うものもありますが、内容はほぼ同一と思っていただいて良いと思います。
特別管理加算Ⅰに比べて項目も多いので、漏れに注意が必要です。また、指導管理と付くものについては本人や家族の了承のもと計画書に指導内容を含め、記録や報告書等に指導内容を記載し残しておく必要があります。
特別管理加算Ⅱについて
在宅自己腹膜灌流指導管理
在宅自己腹膜灌流(CAPD: Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis)の指導管理は、患者が自宅で行う腹膜透析のプロセスを指導し注液量、排液量、除水量、体重、血圧、体温等の状態のモニタリングをしている場合に算定できます。
在宅酸素療法指導管理
在宅酸素療法指導管理については在宅において酸素供給機器を導入し、HOTを行なっている患者に対して指導・機器の管理等を行なった場合に算定できます。指示書に使用機器、ガス流量、吸入時間などを記載してあることが望ましく、看護師も把握し緊急時の連絡方法等を装置にも掲示し患者に説明を行う必要があります。
酸素を月に1度も使用しなかった場合は機器をおいてあるというだけでは算定ができないので注意が必要です。
在宅血液透析指導管理
在宅血液透析とは「維持血液透析を必要としかつ安定した病状にあるものについて、在宅で実施する血液透析療法をいう」と明記されています。通院し透析を受けているケースは該当しません。
在宅中心静脈栄養法指導管理
対象は原因疾患の如何に関わらず中心静脈栄養以外に栄養維持が困難なもので当該療法を行うことが必要であると医師が認めたものとなっています。栄養に関しての製剤などについては指定はありません。
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養とは経口摂取ができないもしくは著しく困難な患者さんに対して。栄養維持のために主として栄養素の成分の明らかなものを経管にて投与した場合のみであり、単なる流動食や一部栄養素の成分が明らかなものは該当しないとなっております。
つまり人工栄養剤の処方が必要となります。人工栄養剤で要件を満たす商品は現状「エレンタール」「エレンタールP」「ツインライン」のみとされています。
エンシュアやラコール等を経管から投与していても該当はしないことに注意が必要です。
算定をする際は栄養法に関しての指導管理を行うことが重要となり、投与内容や指導内容を記録に残しておく必要があります。
在宅自己導尿指導管理
自己導尿指導管理は在宅患者を対象に自己導尿に関する指導を実施した場合に算定ができます。自己導尿の指導は連日の訪問で指導・確認をすることが多いため特指示にて介入する場合が多い印象ですが、介護保険でも算定可能です。
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理・在宅人工呼吸指導管理
在宅持続用圧呼吸療法指導管理についてはCPAP、在宅人工呼吸指導管理はNPPVを含む人工呼吸器を使用している患者に対して取れる加算になります。こちらも指導内容や使用している機器に関して把握し指示内容を指示書に記載していただくことが重要になります。指導内容や管理内容は記録に残すようにしましょう。
人工呼吸器を使用している際に気管切開などを行なっている場合は特別管理加算のⅠが優先となります。
在宅自己疼痛管理指導管理
自己疼痛管理とは疼痛除去のために植え込み型脳・脊髄電気刺激装置を植え込んだ後に在宅において自らが送信機を用いて疼痛管理を行なっている難治性慢性疼痛の患者に対して指導管理を行うことと明記されています。
内服薬などにて疼痛コントロールをしているケースは該当しません。
在宅肺高血圧症患者指導管理
算定要件は肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外に対してプロスタグランジンI2製剤の投与等に関する医学管理等を行なった場合に算定するとなっています。
在宅において肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプまたは携帯型精密ネブライザーを用いてプロスタグランジンI 2製剤を投与する場合に医師が患者または患者の看護にあたるものに対して方法、注意点、緊急時の措置などに関する指導を行い医学管理を行う必要があるとなっております。
商品名としてはフローラン(注射剤)やベンテイビス(吸入剤)などがあります。
肺動脈性肺高血圧症は国により難病指定されており受給者証が交付され医療費の助成を受けることができます。
かなり限定的な疾患のため該当する頻度は少なめです。
人工肛門、人工膀胱を設置している状態
こちらはそのまま人工肛門や人工膀胱の管理を行なっていれば算定が可能です。膀胱瘻に関しては留置カテーテルでの算定が可能なので間違えないようにしましょう。
真皮を越える褥瘡の状態
真皮を越える褥瘡の状態とは①NPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度 ②DESIGN -R分類D3,D4,D5の状態を言います。
特指示が出ている場合に算定をすることが多いですが、介護保険でも褥瘡の管理・観察、処置を行なっていれば算定は可能です。
点滴注射を週3回以上行う必要があると認められる状態
点滴を週3回以上行なった場合に算定が可能です。この場合の週3回とは同一月であれば日曜日〜土曜日の中で3日という換算になります。また、月を跨ぐ場合は日曜日〜土曜日で週3日以上行なった週があれば算定可能となります。
点滴内容に関しては指定はなく投与経路にも指定はありません。また、持続で留置は必要なく単発でも週3日以上の指示のもと実施していれば算定可能です。
こちらも特指示の中で算定をすることが多いですが、介護保険での介入あっても算定可能です。
単位数・金額について
特別管理加算の単位数はⅠが500単位、Ⅱが250単位となります。
1割負担で特別管理加算Ⅱが該当する場合は月々550円程度かかってくるということになります。
特別管理加算のⅠとⅡを併用することはできず両方が該当する場合は重いⅠのみの算定となります。
ただし他の加算とは併用可能です。
まとめ
特別管理加算の具体的な加算要件は、ご利用者様の個別の状態に基づいて付与されるもので、専門的なケアの提供や多職種連携などが行われていることが前提となります。加算が該当になるかどうかは地域や施設、サービス内容に応じて異なるため、最新のガイドラインや関連する規定を確認し請求するようにしてください。この記事はあくまでも私の経験と調べた限りの内容をまとめたものになります。
金銭にも関わることなので、CM様とも連携を行い加算を適切に活用しご利用者様に対する高品質な訪問看護サービスの提供を行えるようにしましょう。
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