フィジカルアセスメントとは
集めた情報をアセスメントするということは看護師の仕事の中でとても重要であり、これを間違えるとリスク管理がないとか、なぜ気づかなかったのか等々身体の異常を見落としてしまうことになります。
ラウンドの中の短い時間や、患者さんとの対面の中で何を観察すれば良いのか解説していきます。
フィジカルアセスメントとは患者さんの身体状況を観察し、訴えを聞き、情報収集をして評価していくことです。
そのために問診をした上で、視診、触診、打診、聴診などを行なっていくことになります。
情報としては患者さんの体格(身長や体重)、バイタルサインなども含まれます。すべてを総合した上で何が問題となり、何に気をつけていかなければいけないかを考え、行動していくことになります。
上から下までアセスメントする必要があるので一度にすべてを考えることはとても大変ですので慣れないうちは問題となっている部分がどこなのかを考えていくと良いと思います。
頭頂部、呼吸器、循環器、腹部、皮膚、排泄(生殖器等)、脳・神経、筋・骨格などがあります。
学生で習ったヘンダーソンなどの看護理論は主にここをアセスメントするために分類しています。
フィジカルアセスメントの他にヘルスアセスメントとして心理・精神状態や社会的側面(家族構成や生活状況など)も合わせて情報を集めていく必要があるため大変です。
フィジカルアセスメントの流れ
一般的には侵襲が少ないものから行っていくことが基本となります。
問診→視診→触診→打診→聴診 の順に行うことが良いとされています。
これらの情報を主観的な情報と客観的な情報に分けて考えていく必要があります。
問診について
問診では患者さんの会話から主訴や既往歴、家族歴、生活歴などを聞いていきます。カルテに書いてある情報を確認したり、治療の経過なども確認することができますので非常に重要です。
認知症や精神疾患のある患者さんは正確ではない情報もあることや、痛みが強い場合は誇張して伝えるなどもあるため注意してください。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンをうまく使い分けて聞いていく必要があります。短い間で多くの情報を聞かなければいけないため、聞く項目については事前に考えておくと良いと思います。
また、非言語的コミュニケーションとして表情や視線、身体の動きなども観察していく必要があります。
現在問題になっていることについて経過を確認していきましょう。
観察項目
・問題点 ・部位 ・性状 ・量 ・程度 ・経過 ・訴え方 ・発症状況 ・時間 ・随伴症状 ・気になっている事など順番に書くと良いと思います。
相手から情報を引き出すことも大事なので、こちらの質問で質問責めのようにならないように注意してください。
視診について
視診は自分が診て得られる情報のことです。必要時ライトなどを使うことになりますが、上から下まで一通り見るように心がけましょう。
自立している人でも人によって不調がいろいろ隠れていることもあります。
顔や服装、全身をみて気になった点はメモしておくと良いと思います。また、見るだけでなく臭いなどにも注意してください。
そして気になった部分があれば問診に戻って聞いてみても良いと思います。
観察項目
・顔の表情 ・チアノーゼ ・紅潮 ・服装 ・清潔さ ・体型 ・体格 ・体臭 ・皮膚状態 ・浮腫 ・意識状態などです
触診について
触診は実際に触れてみて正常か異常か観察していくことです。
普段との変化や経過的にどう変化しているかを観察していけると良いと思います。脈を測るなども触診になります。
観察項目
・皮膚の性状 ・皮膚の温度 ・臓器や腫瘤の有無 ・圧痛 ・皮膚 ・脈拍や脈圧 ・筋肉の可動などです。
打診について
打診は身体の表面を叩いて音や感触から状態を観察する方法です。
清音、濁音、鼓音などがありますがこれらは実際の経験も重要になってくるため新人の時は異常がある記録などをみた際は積極的に経験させてもらうと良いと思います。
叩くことで痛みが生じる場合もあるため加減なども注意が必要です。また、不必要にやると不快感へと繋がるためなぜやるのかを考える必要があります。
聴診について
聴診とは聴診器を用いて体の内部の音を聞くことです。
今は膜型とベル型が一体化しているものも多いため使いわけなどに迷うこともない場合が多いです。
観察項目
・血圧(コロトコフ音) ・呼吸音 ・心音 ・腸蠕動音などです。
アセスメントとは
このようにラウンドの短い時間で多くの情報を判断し正常な部分と異常な部分を情報として集めてできることを探していくことになります。
新人の頃は、観察項目のリストなどを作り一つずつ穴埋め式に情報を集めていくと良いと思います。
整理することで異常がどこにあるのかすぐにわかるようしておくことが重要です。
アセスメントとはこれらの集めた情報を総合して現在どのような状態にあり、何をしなくてはいけないのかを判断していくことです。
この中でも疾患につながってくるのがバイタルサインになります。
https://goma-raika.com/?p=290 バイタルサインの記事はこちら。
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