こんばんは!
バイタルサインの測定、、、基本中の基本ではありますが非常に奥深くしっかりと理解していないと重大な見落としや変化に気づくことが遅れてしまうことがあります。
バイタルから何を読み取るのか、様子をみても良いのか悪いのかベテランの看護師ですら判断に迷う部分かと思います。
疾患によって注意点なども異なるためすべてを解説することは難しいですが、基礎に立ち返りバイタルサインの重要性について再認識してもらえればと思います。
バイタルサインとは
バイタルとは主に体温、脈拍、血圧、呼吸、酸素飽和度のことをいいます。異常や異変を客観的な数値で判断できる重要な指標です。疾患の悪化など身体に起こる変化を客観的に判断することもできます。体温や血圧は医療者でなくてもよく聞く項目かと思います。「風邪をひいて熱が上がる」などは分かりやすいかと思います。中には無症状でも発熱していることもあるので必ずしも自覚症状が伴うわけではないですが、異常の早期発見などにもつながります。
必ずしも頻回な測定は必要ありませんが毎日の決まったタイミングや状態変化時、ケアの前後、初めて会った時など経過的に記録を確認していくことが重要です。
基準について
それぞれのバイタルには基準値があります。一般的にはこれくらいは正常ですという値ですが、この一般的にはという点が非常に重要です。基準値を覚えるということもとても重要ですが、人それぞれに対して基準値があるということを頭に入れておかなければいけません。また、内服薬や疾患との関連もしっかりと考慮する必要があります。
例を挙げると
・37度が平熱→37.5度が異常とはい言い切れません
・血圧130/60mmHg→普段が低血圧出会ったり、普段が高血圧の人は正常に見えても変化している状態の可能性があります。また内服前か後かでも判断が変わってきます。
・酸素飽和度が90%→COPD等ベースが低くなっている患者さんもいます
体温について
基準値に最も個人差が出るものが体温になります。基準値がないと言っても良いですが、36度〜37度の間で維持されることが多いため、37度を超える場合は普段の場合と比べてどうなのかを判断する必要があります。
体温とはつまり熱を作ることと熱を発散することを意識する必要があります。
熱は筋肉などで作られ、血液に乗って全身に運ばれ、皮膚から放散される。これが重要なポイントになります。
寝たきりの人と自立している人では熱の生産量が変わってきますし、若い人と高齢者でも運動量が異なったり熱の発散がうまくいかずに熱が篭ってしまうこともあります。
①運動時は骨格筋が収縮し代謝が亢進することで体温が上がる
②食事を食べると消化や吸収などにより代謝が亢進し体温が上がる
③栄養が不足すると代謝が低下し体温が下がる
④女性はプロゲステロンの影響で排卵後は体温が上がる
⑤高齢者は基礎代謝が低下し体温調整機能が低下するため体温が下がる
⑥高齢者は熱の発散がしにくいこともあり体温が上がることもある
発熱していたら
発熱していたらすぐに異常と判断するのではなく、原因を考えましょう。早急に下げなければいけないのか、原因を解除すれば解決しそうなのか判断が必要です。
発熱は異常に対する体の自然の反応であり体温をあげることで体を守っているということもあるため必ずしも下げる必要はありません。しかし、高熱が続くと疲労や倦怠感などにつながりひどい場合は細胞が破壊されたりするなど注意が必要です。
また患者さんの症状にも注意が必要です、発汗しているのか、震えているのか、だるさがあるのか、動ける状態なのか、実際に触れたり問診したりして確認しましょう。
基本的には熱を下げるためにはクーリングすることになります。頸部や腋窩、大腿などを冷やすのが良いですがクーリングの量や冷たさなども注意する必要があります。
熱が上がっている最中なのか下がっている時なのかによっても対応を変える必要があります。
上記を踏まえて疾患による発熱と判断した場合などは疾患に対しての治療が必要であるためリーダやDrに相談し対応していく必要があります。
判断の基準がわからないということも多いかと思います。
まず重要なのが患者さんの辛さです。それほど高温でなくても患者さんが辛さを訴えるようであれば対応が必要です。
次に重要なのが熱以外の症状です。随伴症状がある場合は体に異変が起こっていると考えて良いと思います。
上記二つがない高温についても原疾患の悪化や感染などが進行している場合があるためまずは報連相していくことが重要です。
脈拍について
成人基準値:60〜100回/分(年齢によって増減あり)
脈拍とは心臓が収縮し大動脈に血液が送られることで、内圧が高まります。この圧が抹消の動脈に伝わり脈拍として触知されます。100回より多いと頻脈、60回よりも少ないと徐脈と表現します。
基本は手首にある橈骨動脈を触知することになりますが脈が弱いなどあれば頸動脈、上腕動脈、大腿動脈なども触知していく必要があります。
心臓の動きと連動しているということは体に酸素を送る時に脈拍は重要となります。体の中の酸素が少なければその分だけ心臓がたくさん動いて体に酸素を送るため脈拍が上昇することになります。
①運動後は酸素需要が上がり脈拍が上がる
②食事を食べると代謝が上がり脈拍が上がる
③入浴すると交感神経が亢進し脈拍が上がる
④発熱すると代謝を亢進し熱を作るため酸素需要が上がり脈拍が上がる
⑤貧血や心不全では酸素需要が上がるため脈拍が上がる
⑥睡眠時は副交感神経が優位になり脈拍は下がる(夜間モニターアラームが増えるのはこのため)
脈が上がると動機や息切れ、脈が下がると目眩や息切れなどの症状が現れます。
左右差や上下肢差にも注意が必要です。
脈拍と血圧の関係
脈拍の触知でおおよその血圧の推定もできるため覚えておく必要があります。
総頸動脈:収縮期血圧60~70mmHg以上
大腿動脈: 70~80mmHg以上
橈骨動脈: 80~90mmHg以上
参考書等によって基準値は変動ありますが概ね上記の値となります。ショック状態など血圧低下が想定される場合は簡易的に確認できるためとても便利です。
リズムの不整について
一定のリズムで脈を打っていれば正常なリズムとして評価できますが、リズムに不整があることもあります。
問題ない不整脈もありますが重篤な心不全などの兆候の場合もあるため普段と比べて変化しているのかを判断していく必要があります。
リズム不整があった場合は記録しDrへ指示を仰ぐ必要があります。
今では血圧計やパルスオキシメーターなどで自動的に測定してくれる機器もありますが、慣れないうちは実測として実際に手を当てて測ることをお勧めいたします。
血圧について
基準値:収縮期140mmHg未満、拡張期90mmHg未満
血圧は脈拍とともに循環を評価する上で非常に重要な指標です。正しい測定と定期的な測定をすることで状態を把握につながります。
血圧とは心臓から送り出された血液が血管に対してどれだけ圧をかけているかどうかの圧力のことです。
血圧=心拍出量✖️抹消血管抵抗で表されます。
心拍が上がる→拍出量が上がる→血圧が上がるという流れです。
抹消血管抵抗は血管の太さや血液の粘度によっても変わってきます。
血圧の変動については疾患、内服、神経系、ホルモン、気温、痛み、体位、食事、入浴、運動など様々な要因によって変化します。
そのためどの要因で変化しており一時的なのか持続的なのか判断し、緊急性があるのかないのかを考えなければいけません。
例えば転倒後血圧が180mmHgまで上昇したとなれば異常であり早急な対応が必要ですが、血圧200mmHgの人が内服を飲んで180mmHgまで下がったのであれば様子を見ていく必要があります。きっかけなども重要となります。
危険な高血圧とは
通常高血圧は自覚症状もないことも多いですが自覚症状がある場合は要注意です。
脳や心臓、腎臓等障害が生じている可能性があります。
・頭痛 ・悪心、嘔吐 ・意識障害 ・呼吸困難 ・胸痛 ・背部痛などは危険のサインです。
内服などに注意し早急に下げる必要がある場合がある可能性があり指示を仰ぎましょう。
呼吸について
成人基準値:呼吸数12回〜20回 酸素飽和度95%以上
呼吸に異常があると酸素がうまく取り込めず脳や全身の状態も悪化してしまうため非常に重要なサインとなります。逆に脳などに異常があるために呼吸がうまくいかないということもあるため原因がどこにあるのか注意していく必要があります。
頻呼吸は25回/分以上、徐呼吸は12回/分以下となりますが呼吸の深さや型なども注意していきましょう。また、どのように呼吸しているのかもポイントとなります。
呼吸困難がある患者さんは口すぼめ呼吸や起坐呼吸、下顎呼吸など疾患や状態によっても呼吸は変わってきます。
パルスオキシメーター等も併用し、体内の酸素の状態を把握し、異常があるようであれば報告し相談していきましょう。
まとめ
今回書いた注意点はポイントの一部となります。
もちろんこの中には個別性があり、人によって症状や値も様々です。
重要なのは訴えを聞き原因を考え、そして緊急度を判断し対応していくことになります。
この判断を誤ってしまうと異常の早期発見が遅れてしまうため注意していく必要があります。
新人の頃は基準値をまずは覚え、異常があればなぜ異常なのか、どのように対応していけば良いのかを先輩と相談していくことが重要となります。
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