訪問看護と医療券(介護券)

今回は訪問看護と医療券・介護券にの関係について解説をしていきます。

医療券・介護券という言葉自体に馴染みがないこともあると思います。通常の看護業務を行う上では必要のない知識かもしれませんが、生活保護を受けているご利用者様に訪問看護を行う上では非常に大切な知識になります。

管理職だけではなく、プレイヤーでも知っておくことで訪問しているご利用者様がどのように医療を受けているのかを理解できるので頭に入れておくと良いと思います。できる限りわかりやすく簡潔にまとめたいと思います。

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目次

医療扶助の理解

医療券は前提として生活保護の医療扶助という制度をもとに発行されます。そのため医療扶助についてまずは理解が必要となります。
医療扶助は、経済的困難な状況にある人々が必要な医療サービスを受けることができるよう支援するための制度です。この制度は、全ての人が平等に医療を受ける権利を保障することを目的としています。医療扶助の概要から利用方法、制度の利点までを解説します。

医療扶助とは

医療扶助は、生活保護法の一環として提供される制度で、経済的に自立が困難な個人や家庭に対して、医療サービスの費用を国が支援するものです。これにより、医療が必要な人々が経済的な理由で医療を受けられないという状況を防ぎます。

2. 利用資格

医療扶助の利用資格は、所得や資産状況に基づいて判断されます。一般的に、市町村の社会福祉事務所が受給者の資格を審査し、医療扶助の対象となるかを決定します。

3. 利用方法

医療扶助を利用するためには、事前に生活保護の申請を行う必要があります。申請が承認されると、医療費の一部または全部が支給される形となります。ケースワーカーの承認のもと自治体に申請を行うことで「医療券」というものが発行されます。この医療券が保険証の代わりとなり受診が可能となります。

4. 利用可能な医療サービス

医療扶助では、一般的な診療から専門的な医療処置、医薬品の処方、入院治療に至るまで幅広い医療サービスが対象となります。しかし、一部の自由診療などは制度の対象外となることもあります。

5. 制度の利点と課題

医療扶助制度の最大の利点は、経済的困難な状況にある人々が必要な医療サービスを受けられることです。一方で、制度の適用範囲や対象者の選定基準についての課題も指摘されています。

まとめ

医療扶助は、生活保護の方が適切な医療を受けるための重要な制度です。この制度を適切に理解し、必要な人々が利用できるように情報提供とサポートが求められています。そして訪問看護を利用する際にも「医療券」が必要になってくるという部分を理解する必要があります。

生活保護の医療券について:知っておくべきポイント

生活保護制度の一環として提供される医療券は、経済的に困難な状況にある人々が必要な医療を受けるための重要な支援策です。

1. 医療券とは?

医療券は、生活保護受給者が医療サービスを受ける際に使用することができる券です。これにより、医療費の自己負担が免除され、経済的負担を軽減しながら適切な医療を受けることが可能になります。

2. 医療券の発行方法

医療券は、地方自治体の社会福祉事務所などから発行されます。生活保護を受給している人が対象で、申請手続きを通じて取得することができます。

3. 利用できる医療機関

医療券は、指定された医療機関や薬局で使用できます。利用可能な医療機関は自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。生活保護になった際にかかりつけが医療券に対応していなかった場合は医療機関を変更する必要もあります。

また、新たに病院を見つける場合もその病院が医療券に対応している病院なのかを確認する必要があります。

4. 利用上の注意点

医療券を利用する際には、有効期限や利用範囲に注意が必要です。また、医療券は他人に譲渡や販売することは禁止されています。

5. 医療券と他の医療費支援

生活保護受給者は医療券の他にも、高額療養費制度などの医療費支援を受けることができます。これらの制度との関連性についても理解する必要があります。

訪問看護と医療券

訪問看護を行う際にも医療券が必要なことは上述しました。ここからは具体的に何をしなければいけないのかを解説いたします。

介護保険の場合

今まで医療扶助と医療券という言葉を使ってきましたが、利用者様が生活保護かつ介護保険を利用し介入する場合は医療扶助の医療券ではなく介護扶助の介護券という制度になります。(主な制度の概要は同じです)

訪問看護で行うべきことは、まずはケアマネージャー様に介護券が必要な旨を報告します。(慣れていれば言わなくても申請していただける)
申請にはケアプランの写しが必要であるためケアマネージャー様が自治体の福祉事務所に申請し各事業所に介護券が届くように手配していただくという流れになります。

そのため訪問看護事業所はケアマネージャー様と連携をとりながら介護券の申請を行うことになります。

医療保険の場合

生活保護かつ医療保険利用かつ他の公費を持っていない場合は医療券が必要になります。
そのため訪問看護事業所は上記利用者様の訪問が開始となった場合は医療券の手配をすることになります。
必要なものは指示書のコピーとなります。

市町村自治体の福祉事務所に連絡し、医療券の申請が必要な旨をお伝えし指示書のFAXを送ります。(その他に書類が必要な場合は各自治体の指示に従ってください)

申請を行うと訪問看護事業所宛の医療券を郵送で送付していただくという流れになります。

注意点

・介護券、医療券ともに更新は自動更新となり不要となった場合は福祉事務所に不要になった旨を報告する必要があります。(筆者の経験上ですが)

・同月に介護保険、医療保険両方を使用した場合は制度上書類は介護券、医療券両方が必要になります。
制度上と記載したのは制度としては必要であるが、請求ソフトによっては両方の入力ができないこともあるため、請求状はどちらかのみとなる場合もあります。(今は改善されているかもしれません)

・発行までに時間がかかることもあります。すぐに始めたい場合などは発行の確約をとってから介入すると良いと思います。発行は1ヶ月単位になりますので月跨ぎに注意が必要です。

発行できないと言われることは少ないと思いますが、予算の少ない市町村などは審査が非常に厳しい場合があります。

他の公費を持っている場合

生活保護を受けている利用者様は基本的に保険証を持っていませんが、その他の公費を持っていることがあります。

難病手帳や自立支援手帳などを持っている場合はそこに生活保護0円の記載があれば、医療券の請求は不要となります。

生活保護には他法優先の原則というものがあり、他の法律による援助を受けることができる場合には、生活保護より優先することになっているためです。(各種年金法・健康保険法・身体障害者福祉法・児童福祉法・老人福祉法、難病法、自立支援法など)

そのため他の公費を持っている場合には他の公費を優先して介入を行うことになるため医療扶助としての医療券が必要になります。ただし自立支援などは事業所の登録などが必要になるため各制度の利用方法に準じて使用していく必要があります。

まとめ

訪問看護では医療券という制度も理解して介入を行う必要があります。
生活保護の人に訪問をすると、病院や歯医者などにいくためにも医療券が必要になってくるため会話の中でも医療券の話題も出てくる可能性が高いので必須知識として勉強しておくと良いと思います。

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この記事を書いた人

看護師・保健師 胡桃 30代メンズナース
訪問看護師をしています。

妻と子とのんびり暮らしています。
メインは看護・育児・お金などになりますがノンジャンルで発信していきます。

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