訪問看護のオンコールに関しての基礎知識〜非医療者向け〜

訪問看護師になるとオンコールという言葉が非常に身近になります。そのため看護師にとってはオンコールがどのようなものか想像しやすいですが、看護師の常識と看護師以外の常識には大きく異なる部分があるのも事実です。

今回はオンコールの基礎的な知識として看護師以外の職種の方にもオンコールがどのようなものかわかるようにご説明したいと思います。

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目次

オンコールとは

まず初めに訪問看護師の使うオンコールというのは訪問看護を利用している利用者様が体調に変化があったときや何か相談をしたいときに24時間いつでも看護師が待機し困ったときに電話相談を行右ことができ、必要があればご自宅に駆けつけることができるサービスになります。

「オンコール」という言葉自体は訪問看護用語ではなく病院でも使われる用語になりますが、いずれも医療者が待機をすることでいつでも駆けつけることができるという状態のことを言います。

オンコールは加算という形で介護保険であれば「緊急時訪問看護加算」、医療保険であれば「24時間対応体制加算」という形で取るのが一般的です。受ける人の目線で言えばオプションになりますので訪問看護を利用しているからといって必ずオンコールが適応になるわけではありません。

オンコールが適応になった際は訪問看護の事業所より料金の説明、体制の説明の上同意書にサインをした場合に24時間つながる電話番号が渡されるという流れが一般的です。

オンコールの条件

基本的にオンコールの体制を取るための条件は定期的に訪問看護を受けていることが前提になります。訪問リハビリ(訪問看護としてのリハビリも含む)のみでは看護師が定期的に状態を把握していないためにオンコール体制を取ることはできません。

看護師による定期訪問を受けていれば基本的には本人、家族そしてケアマネなどの「希望」のみで料金に同意さえすれば受けることが可能です。この時の料金は介護保険、医療保険の負担割合に準じ、公費などがあればそれも適応されます。

ただし、看護師による定期訪問を受けていたとしても月1回の看護師の定期訪問では断る事業所もあるようです。
(理由としては月1回の訪問だと体調の経過を追うことができず適切な対応ができないと判断するためです)

また一方で希望がなくても訪問看護師や訪問診療のDrから緊急訪問看護を取るように勧められることがあります。
これは状態変化が予測され、加算を取れないことで初動が遅れることを懸念しています。また、夜間や土日祝日など訪問看護ステーション自体がお休みの日はオンコールをとっていないと対応できないことが多いことも事実です。

オンコールの金額

オンコールの加算の金額ですが、介護保険、医療保険で料金が異なりますが介護保険1割負担で月々574円、医療保険1割負担で月々640円程度になります。(2級地を参考)

2割負担であれば2倍、3割負担であれば3倍になります。

ただしこの金額はあくまで24時間対応するお約束をするものであり、電話対応は無料のところが多いですが、緊急訪問を行なった場合は別途訪問料金(時間帯によって夜間や深夜の加算)がかかります。

オンコールの体制

オンコールですが、病院であれば当直室や仮眠室などもあることもありますが、基本的に訪問看護でのオンコールは待機場所が各スタッフの自宅になると思います。

さらに夜間のオンコールは夜勤とは違うので基本的に待機している看護師は自分の生活を送っている中で待機をしていることになります。もちろんすぐに電話をとれる体制やすぐに出動できる心がけはしている場合がほとんどですが、それでもトイレに行っていたり、お風呂に入っていたり、子供の世話をしていたりと電話を100%取れないこともあります。(必ず折り返しはあると思いますが)

また、オンコールの待機をしているスタッフは輪番制となることがほとんどです。(事業所によっては管理者が365日待機しているステーションもあるようですが)
そのためいつも担当していない看護師が電話に出ることもありますし、緊急訪問をすることもあります。それにより電話をする際には症状や状況をいつもよりより詳しく説明しなければいけないということがあります。

オンコールの注意点

オンコールでよくいただくご意見がありますので注意点として説明させていただきます。
オンコールは1人で担っていることが多く順番に対応をするためどうしても早急な対応が取れないこともあります。また電話をしても1分1秒を争うと看護師が判断した場合や到着が遅くなる場合は救急車を勧められることもあると思います。

契約時に十分説明が必要ですが、その時々で状況も違うために全てを事前にお伝えすることが難しい部分でもあります。よくある質問と定型文にはなりますが理由をご説明いたします。(言い訳に聞こえるかもしれませんが)
・電話に出なかった
⇨事業所ごとに電話に出れる対応はしていると思いますが、どうしても取れない時間というのもあるのも事実です。他の入浴中、訪問中、運転中などが多いと思います。そのため急変で焦っているとは思いますが、留守電に用件を入れていただくか何度か電話をしていただくことをお勧めいたします。その他訪問診療が入っていれば訪問診療へ連絡をする、公共の相談機関#7119を利用するなども選択肢になります。
・くるのが遅かった
⇨各スタッフによって出発地が異なるためどうしても時間がかかってきます。また、他の訪問中であればより遅くなってしまうこともあります。1時間、2時間遅くなる可能性もあると思います。そうならないよう事業所ごとに対応はとっておりますが、人的要因や環境要因など不足部分が重なると遅くなってしまうこともあります。
救急の場合は救急対応を、少し待てる場合は安静にしていただき到着をお待ちいただくようにお願いいたします。
・いつもと違う人が来た
⇨上記でもお伝えした通りオンコールは輪番制出ることがほとんどです。普段の訪問のスタッフが必ず待機しているとは限らないためそこはご理解いただければと思います。
・状態を何も知らない人が来た
⇨普段のスタッフではない場合電話の対応や訪問での対応で情報共有が不足してしまう場合があります。情報共有をすることは事業所ごとに対策をしていると思いますが、電話を受けてから駆けつけるまでに多くの情報を把握することは難しく訪問してから記録を確認することもあります。百聞は一見にしかずというようにまずは特に急変時は訪問し状態を確認することが看護師にとっては1番の情報になります。
・料金の説明がなかった
⇨緊急時の訪問は加算以外に訪問料がかかります。契約時に説明をすることが多いですが、契約の内容を全て覚えていることは少ないかと思います。そのためまずは救助を優先し後から説明という場合も多くなってしまうのが実情です。
緊急訪問の回数が多いとそれだけ負担も増えてしまうため事前にどの程度金額がかかるのか確認しておくと良いでしょう。
・相談をしたのに様子を見るように言われただけだった
⇨看護師によっては緊急性がない場合は訪問しないという判断をすることもあります。緊急時の加算を取っているのにきてもらえないというのは不安になると思います。事業所によって出動の基準というものを決めていることが多いと思いますが来てほしいという要望に対して基本的に断ることはないと思います。どうしたら良いと思いますかという問いに対しては看護師としてアセスメントの元で様子を見てくださいという伝え方をすることもあるので、まずは何をしてほしいのかをしっかりと伝えると良いと思います。ただし体調が悪くなっていない相談の案件など、明らかに緊急性のない要件での出動することはオンコール適応外と判断されてしまうために注意が必要です。
また、看護師の様子を見てくださいはその電話をかけた時点での助言であるため、それよりも状態が悪くなったと思った際はもう一度お電話にて相談していただければと思います。

訪問診療と訪問看護どちらにかければ良いの?

訪問看護と訪問診療療法を利用されている場合両方が24時間対応であり、どちらに相談をしたら良いのかという質問もあります。

回答は基本的には「訪問看護」に一番先に電話をしてください。(事前に取り決めがある場合は訪問診療でも良いですが)
すぐに先生に相談したいという気持ちもわかりますが、訪問看護よりも圧倒的に訪問診療の方が多くの患者さんを抱えているため、すぐに対応できないことが多いです。また、訪問看護と訪問診療では基本的には役割が異なっており、訪問診療では診察、処方がメインとなりますが初期対応は看護師に出動してもらい、状態報告の上で判断したいという先生が多いです。家族判断の状況と看護師の医療的視点では緊急性が異なることもあり、医者が出動する必要のない案件が多いのも事実です。

看護師がきた後に訪問診療も来ると2重に料金がかかってしまうということは事実ではありますが、役割が異なっているため無駄になることはないと思っております。(無駄だと思う場合は訪問看護の緊急訪問については事前に看護師と話し合っておくと良いと思います)

まとめ

訪問看護のオンコールは病院の夜勤とは異なり万能ではありません。看護師が来るまでに症状が落ち着いたために何もしてもらえなかったなどの状況も起こり得ます。

しかし少しでも早く的確に対応できるように訪問看護師は日々事前に対策を立て、急いで向かう努力もしています。
そこをどうかご理解いただければと思います。

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この記事を書いた人

看護師・保健師 胡桃 30代メンズナース
訪問看護師をしています。

妻と子とのんびり暮らしています。
メインは看護・育児・お金などになりますがノンジャンルで発信していきます。

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