エンゼルケアのポイントについて解説〜クーリング、綿詰めは必要?〜

胡桃です!

今回はエンゼルケアをテーマに取り上げていきたいと思います。
なかなか勉強することが少ない、または後回しにしがちなエンゼルケアですが今回は何をすれば良いのかポイントを絞ってお伝えできたらと思います。
病院によっては業者が代わりにやるという場合もあるため、必要ないということもあるかと思いますが知識として知っておくことは重要かと思います。

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目次

エンゼルケアとは

エンゼルケアとは死亡確認後のケアを意味します。実際の現場では在宅など医師が死亡診断をする前からケアが行われることも少なくありません。
エンゼルメイク、グリーフケア、死後処置など細かく区別されることもありますが、エンゼルケアは死亡確認後の一切のケアがエンゼルケアと定義されていることもあり広い意味になります。

意義と目的

エンゼルケアが目指しているのは尊厳をもって人生を終えたいと望む患者さんがその人らしく死後の時を迎えることになります。エンゼルケアは看取りの段階から患者家族と看護師や介護職との信頼関係を基盤に行われてきた看取りのケアの延長線上にあるため生前の患者さんとその家族の意思をくみ取りエンゼルケアに反映されることが重要になります。

基礎知識について

患者さんが亡くなり生命機能が停止すると体温調節といった全ての恒常性が失われ死後変化が起こってきます。そのため死後変化を最小限に留める処置が必要となります。腐敗が進行してしまうと修復が非常に難しく腐敗させないこと、変色させないこと、乾燥させないことが重要となってきます。

死後硬直について

死後一定期間が経つと骨格筋が強直し体が硬くなっていきます。一般に死後硬直は上の関節から下の関節に順次起こります。そのため最初に2〜3時間で顎に出現し以降頸、肩、上肢、下肢、手指、足指の順となり、およそ6〜8時間で全身が硬直します。そのご12時間程度でピークを迎え24時間程度持続します。その後30時間を超えたあたりから発現した順番に融解していきます。

温度管理の重要性について

死後は体内の常在細菌叢が崩壊し、菌交代現象が起こり特定の細菌が増えることでご遺体に悪影響を及ぼします。つまり酸素の供給が体になくなるため嫌気性細菌が増加します。その中でも特に問題となるのがブドウ球菌や大腸菌となります。これらの細菌は酸とガスを発生させるために酸素ガス分圧が低下しアシドーシスも亢進します。するとさらに嫌気性細菌群が増加します。これらの増殖を抑制するために温度管理が非常に重要となります。

クーリングについて

クーリングの目的は胸腔内温度と腹腔内温度を下げることとなります。クーリングにより細菌の増殖に伴う腐敗現象、酵素の働きによる自己融解、化学物質の変色、水分蒸散による乾燥を防ぐことができるため非常に重要となります。表面温度を下げることが目的ではないため注意する必要があります。夏などはエアコンなどをつけることも予防にはなりますが、まずは腹部、胸部のクーリングとして蓄冷剤などを当てることが重要となります。

圧迫や拘束について

ご遺体を圧迫や拘束する行為は原則近畿になります。具体的には包帯を患部や創部に使用した場合や下顎を固定するために包帯やバンドを使用した場合、手を合掌させるために手首にバンドを使用した場合などです。これらを行うと高い確率で局所の腫脹が発生し皮下出血なども生じます。また、これらは症状が出るまでにも時間がかかるため後になって家族が気づき後悔するということにもつながります。
もし実施する場合は十分にリスクの説明を行い可能な限り短時間で行うのが良いでしょう。

綿詰めについて

慣習的に綿詰めが行われる場合もありますが、基本的に漏液を防ぐ目的としては効果がないとされております。こちらは脱脂綿でも青梅綿であっても漏液が発生すると、阻水効果以上の圧がかかり結果として漏れてしまうためです。
しかし綿詰めの慣習がある場合は行わないことで不満や不信感を持つご家族もいるためその場合は拒否せずに詰めることも必要になるかと思います。現在はルーティンとしての綿詰めはしない方向に進んでいるようです。

エンゼルケアの流れ

事前に家族へ流れについては話しておくべきであり、ご家族の希望する処置なども確認しておくことは家族が受容することにもつながり重要となります。
①ご家族へエンゼルケアについての説明と相談
②医療物品の除去(点滴、酸素など)
③洗髪・頭皮マッサージ
④顔の各部位の洗浄、清拭、髭剃り
⑤口腔ケア
⑥身体清拭、排泄ケア
⑦更衣
⑧目や口の補正、爪切りなど
⑨ヘアメイク
⑩クーリング
上記一般的な流れになりますが、すべてを必ずやらなければいけないというわけでもなく、またご家族によって上記以外の処置の希望などもあるかもしれません。また、やり方や物品なども各家庭で異なったり病院によっても異なる場合も多いため臨機応変に対応することが求められます。

まとめ

最も重要なことはご家族などキーパーソンへ亡くなった後のことを事前に相談することはもちろん亡くなった後も今後について相談していくことが必要になります。定型的に決まったことをやるのではなく、必要な処置を相談し対応していくことが求められます。また、処置はもちろん心理的な配慮も重要となるため可能であれば信頼関係のあるスタッフが対応することが良いと思います。
一度職場で行っているエンゼルケアについて見直してみるのも良いのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

看護師・保健師 胡桃 30代メンズナース
訪問看護師をしています。

妻と子とのんびり暮らしています。
メインは看護・育児・お金などになりますがノンジャンルで発信していきます。

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