胡桃です!
今回はBLSとACLSについて解説していこうと思います。
とは言っても非常に奥が深い部分になりますので勉強していく上での導入部分になります。
急変が得意な人は少ないかと思いますが、まずは冷静になることが重要です。
はじめに
心肺停止の患者を発見した際はBLSを行うことが重要となります。BLSとはBasic Life Supportの略で一時救命処置のことです。そして一次救命を行い救急カートや薬剤、機器や人手がそろった場合は挿管や薬剤投与など高度な心肺蘇生であるACLSへと移行します。ACLSはAdvanced care life supportの略となります。基本から高度へ移行すると覚えておいてください。
注意しなければいけないのは患者によっては治療を望んでいない場合があるということです。DANR(Do not attempt resucitation)という心肺停止になった際に素性を行わないという意思表示がある場合については事前に把握しておく必要があります。DNARについては本人の希望もあれば本人が意思表示できないなど家族の希望も考慮される場合もあります。本人や家族と医師の間に十分な話し合いが行われ同意が得られているということが前提になるため注意が必要です。
BLSについて
BLSについては運転免許の講習などでも行われるなど医療者でなくても必要なスキルになります。しかし医療者は専門性を持って対応することも重要になります。
BLSの主な手順になります。
1、周囲の安全を確認し自身の感染防御を行う
心肺停止の人や倒れている人を見かけてもまずは周囲に危険がないか確認する必要があります。手袋を着用するなど自身の感染防御にも注意する必要があります。患者さんがどこを出血しているかわからなかったり、なぜ心肺停止になったのかすぐにわからないことが多いからです。
2、反応の確認を行う
肩を叩いたり、大声で呼びかけるなど意識状態の確認を行います。そして気道確保や呼吸状態の確認、脈の触知など行う必要があります。反応がなければ人を集めたり、救急カートやAEDを準備する必要があります。
3、CPRを開始する
呼吸停止または脈拍を触知できない時には速やかにCPRを開始します。CPRを開始するためにエアマットを硬くする、ベッド柵を外す、周囲の広さを確保するなどを行う必要があります。
⭐︎胸骨圧迫と人工呼吸のサイクルは30:2で行います。
・適切な圧迫の位置は胸骨の下半分に手を当てる
・圧迫のテンポは100〜120回/分の速さで
・圧迫の深さは成人は5cm以上6cm未満
となります。事前に人形などで練習しておくのが良いと思います。
また、人工呼吸は病院ではマウスtoマウスではなくバッグバルブマスクなどを用います。なければ胸骨圧迫のみを継続します。
ポイントは胸骨圧迫を開始したら圧迫の評価を行う時、除細動による通電時以外は基本的には止めないと思っていてください。
4、除細動の適応の確認
AEDもしくは除細動器が到着したらすぐに装着します。
AEDは自動で除細動適応の判定を行い、除細動の指示をしてくれます。除細動器はモニター波形を確認し心室細動または無脈性心室頻拍であれば除細動を行います。
ACLSについて
5、BLSを行い反応がない場合はACLSへ移行する
BLSを行い改善が見られた場合は良いですがそうでない場合は救急カートなどが到着次第速やかにACLSへ移行する必要があります。当然医師の指示が必要であるため医師が到着するまでは心臓マッサージを継続することになります。
6、心電図波形を判断しアルゴリズムに則り蘇生を行う
VF、無脈性心室頻拍(Pulseless VT)の場合はプロトコルに従い除細動、薬剤投与を行います。
またPEAやasystoleについてもプロトコルに従い薬剤投与を行っていきます。
もちろん医師の指示により指示変更になるかもしれないためベースとして覚えておく必要があります。
以下AHAがガイドラインを出しているため見ておくと良いでしょう。
Hghlghts_2020ECCGuidelines_Japanese
<引用AHAガイドライン2020>
7、その他
必要に応じて経鼻・経口エアウェイの挿入、挿管を検討します。また、ルート確保を行い生食や外液の投与、医師による鑑別診断等のもとで原因を模索し原因除去を行っていきます。
鑑別については「6H6T」なども調べてみると良いでしょう。
まとめ
急変が起こるとやらなければいけないことややるべきプロトコルなどを忘れてしまうことがあるため頭ではもちろん身体でも覚えていく必要があります。理論を覚えることはもちろんですが練習をすることも実践を行う前に必要となってきます。
また、日々救急カートの点検や物品の把握なども必要となります。
BLSやACLSに強くなりたい人はAHAの認定講習会も定期的に開催されているため受講することをお勧めいたします。お値段は少しお高めですがとても良い経験になると思います。
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